現在の獣医師のトレンドが知りたくなったので、ざっくりとまとめてみました。
農林水産省が公開している獣医事をめぐる情勢に記載されている情報を用います。
(過去データは、「農林水産省 獣医事をめぐる情勢」でググればヒットします。)
獣医師数の変化に関して
まずは、全体の傾向についてみてみましょう!
こちらのグラフの灰色の棒グラフを見ると・・・
記録の始まりである1986年以降、ほぼ右肩上がりに増加しており、2012年に約3.9万人となってから安定します。
しばらくこの傾向が続きますが、2024年から再び増加していくと考えられます。
なぜなら、2018年に岡山理科大に獣医学部が新設されたからです。
岡山理科大に獣学部が新設された理由としては、産業動物獣医師や農林水産系の公務員の不足が挙げられていました。
全体の人数を充足させることで、不足している分野の補填をしようという狙いのようです。
(この辺りの話については、また別に記事を書きたいと思います。)
獣医師の不足を理由に開設を許可したことから、岡山理科大から卒業する分の人数は増加するでしょう。
一般に獣医師国家試験の合格率は全体で8割ほど、私大の方がやや高い傾向にあります。
合格人数の上限が決められている医師国家試験と異なり、獣医師国家試験の合否は点数によって決まります。
よって、他の大学同様に岡山理科大学の8~9割の学生が合格し、獣医師となると考えられます。
2024年以降は、毎年100人ずつくらいの獣医師が増加していくことになります。
次は、獣医師の各職種について考えてみます!
職種の人数比について
もう一度同じグラフになりますが、今度は折れ線グラフを見ていきます。
全体の傾向としては、小動物臨床一強の時代です(ピンク色の折れ線)。
小動物臨床分野1986年以降、ひたすら右肩上がりに増加を続けています。
2006年以降には、他の職種とダブルスコア以上の差が開きます。
学生の志望分野としては減少傾向にあるようですが、しばらく一強時代が続くと思います。
また、教員や民間企業の人数も緩やか増加しています。
公衆衛生分野の公務員は、ほぼ横ばいです(黄色の折れ線)。
一方で、産業動物獣医師、農林水産分野の公務員は、緩やかな減少が見られます(それぞれ緑、青の折れ線)。
また、獣医師免許を用いない職(無職含む)も増加傾向です(朱の折れ線)。
結局のところ、獣医師の人数は増加していますが、内訳を見てみると小動物臨床以外の分野は、人数がほとんど変化していません。
つまり、獣医師が増加した分だけ、小動物臨床が増加している状態です。
長年問題となっている農林水産分野の公務員や産業動物獣医師は人数不足は、小動物一強状態をどのように解消するかが課題と言えます。
最後に男女比についても見てみましょう!
男女比について
こちらのグラフは、青色が男性で、ピンク色が女性を示しています。
パーセンテージは、女性の割合です。
50~60代では約8割が男性でしたが、若い世代に向かうにつれて女性の割合が増加しています。
女性の割合は、30~40代では約40%、20代では50%を超えました。
今後も女性増加のトレンドは続くと考えられます。
現在は、業界の中心的な役割担う50-60代に男性が多いので、男性社会的な雰囲気が強いように思います。
しかし、今後の10~20年ほどで女性が割合が急増すること、社会全体の女性進出推進の機運が高まっていることから、獣医師の世界も変化を求められていると思います。
まとめ
かなりざっくりとまとめましたが、全体の傾向は掴めました。
2024年には大動物分野の拡充が期待されて設立された岡山理科大の第1世代の学生が獣医師となります。
彼らがどのような進路を選ぶか注目です!
また、女性の増加がどのような影響をもたらすのか。
今後の獣医の世界がどのように変化していくのか楽しみです!